堰の水春の光になりにけり     広上 正市

堰の水春の光になりにけり     広上 正市

『合評会から』

悌志郎 春の光は強い。堰(せき)の水の光りで「春の水」になってきたな、と分かる。きれいな句だと思う。
而云 すっきり詠んで、快い。作者はいつも堰の辺りを歩いているから、水の変化を感じ取ることが出来た。
反平 家の近くに用水路があり、春になると水しぶきがキラキラ光る。なのに私はこう詠めない(笑い)。
水牛 堰の水が温んできた微妙なところを詠んでいて、感心しました。
大虫 堰の辺りはしぶきで白く見える。その水の色に春の光を感じている。繊細な句でうね。
睦子 雪解けの水が温むころ、耕作地に水を流れ入れる。季節感にあふれた、いかにも春らしい句です。
明男 堰の水がキラキラ輝いている。それを「春の光になりにけり」と詠んだ。上手ですね。
      *         *
 堰の水の変化に気付いたのは明らかに居住地の利。一方、「春の光になりにけり」と詠んだのは、長年鍛えてきた熟練の技と言えるだろう。一見したところ、あっさりと詠んだようにも感じられるが、句を眺めるほどに早春の田園地帯が浮かんでくる。俳句表現特有の効果、と言えるかも知れない。(恂)

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