山小屋の夕餉に響く遠雪崩     池内 的中

山小屋の夕餉に響く遠雪崩     池内 的中

『この一句』

 「雪崩の音を聞いた事がないから想像するしかないが、これは怖い体験でしょうねえ。不気味なところがよく出ている」(てる夫)、「実体験に裏打ちされた句ならではの強さがある」(綾子)、「最近、本白根山の事故があったりしたのでタイムリーな句」(木葉)など、句会では珍しい体験を詠んだところに賛辞を送る句評が多かった。
 「夕餉」と言っても山小屋のことだから豚汁に握り飯くらいのところだろうが、雪の山道を必死に歩いてようやく日暮れ方に山小屋に辿り着き、夕飯にありついた。人心地がついた頃合い、地鳴りと共に雪崩の音が響いた。もしかしたら数時間前に通過した場所ではないか。思わずどきっとした。
 作者によると学生時代の体験で、山小屋の夕飯は粗末なライスカレーだったが、実に美味かったという。私は本格的な冬山登山の経験が無いが、高校時代、丹沢の雪中登山で迷ったことがあり、その時の怖さを今でも思い出す。この句はもっと本格的な冬山登山のようだ。臨場感と安堵の気分がよく出ている。(水)

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