多摩の丘葉落ち尽くしぬ冬の月     和泉田 守

多摩の丘葉落ち尽くしぬ冬の月     和泉田 守

『おかめはちもく』

 多摩丘陵の雑木林。葉を落として裸になった木々が冬の月に照らし出されている。白骨を並べたようにも見えるが、怖いと言うよりむしろ幻想的な景色だ。ところどころ人の手で植えられて生い茂った杉や檜などの針葉樹林が黒々とした背景となり、落葉樹の白い幹と枝を浮き上がらせている。日本画の名品のような、美しくも凄涼な光景である。
 しかし、この句はどうにも口調が良くない。ちゃんと五・七・五の定型になっているのに、読み下すと舌がもつれるような感じがする。やはり、中七の「葉落ち尽くしぬ」という措辞が良くないのだ。「ぬ」は完了・強意の助動詞で、「落ち尽くしぬ」は「落ち尽くしてしまった(ことよ)」の意味になる。それは良いのだが、終止形だからここで句は切れる。上五も「多摩の丘」で切れている。いわゆる「三段切れ」で、ぶつぶつした感じが強まってしまう。
 ここはやはり好素材を生かし、「枯木」と「冬月」の季重ねを避ける工夫をしつつ練り直すべきであろう。「月光に浮かぶ枯木や多摩の丘」というのもあろうし、「裸木を透かす月光多摩の丘」も成り立つだろう。(水)

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