狐火の出るやも知れず樹木葬     前島 幻水

狐火の出るやも知れず樹木葬     前島 幻水

『この一句』

 樹木葬が埋葬の一形式と法的に認められ、一般的な人気を得てきたのは二〇〇〇年以降のことだろう。理由は都会の住宅地不足と同じで、一戸建てとマンションの関係を考えればいい。即ち墓地内に一本、或いは何十本もの樹を植え、その周囲にたくさんの墓を作るのが、樹木葬である。
 掲句は、その墓地に狐火が出るかも知れない、と言う。かつて樹木葬について調べたことのある筆者は、さもありなん、と思う。このような墓地は当初から「ピン・キリ」であった。しっかりと管理され、何倍もの抽選の末…という墓所がある一方、人気がなく瞬く間に寂れていった所もあるのだ。
 樹木墓地を経営するという寺に電話で様子を聞いたことがあった。住職はこう言った。「ウチの寺とは無関係。お断りしました」。業者が近くの山で勝手に工事を始め、その後に交渉に来たのだという。「あの山は水が出ない。水はどうするのか」。住職の言葉を思い出し、改めて作者の俳号を見つめた。(恂)

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