黄昏の両手ポケット冬隣     田中 白山

黄昏の両手ポケット冬隣     田中 白山

『合評会から』(番町喜楽会)

可升 最初、ぶっきら棒な句だなぁと思いました(笑)。それに「両手ポケット」って何だろうと…。でもよく読んでみると何とはなしにいい。夕暮れ時、手持無沙汰だったんでしょうね。両手をポケットに突っ込んで…。その「シュール感」でいただきました。
哲 昭和の香りがしますね。「三丁目の夕日」みたいで。学生時代、夕日の中を肩をすぼめてポケットに手を突っ込んで歩いたことを思い出しました。
二堂 手袋をはめるほど寒くはないのですが、何気なく手をポケットに入れたくなる時期です。
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 三人が述べているところに尽きるのだが、あえて蛇足を言う。これは「冬最中」や「寒中」では極めて当たり前になってしまうところを、「冬隣」という、11月に入って早々の秋と冬との境目という、ごく短い時期と取り合わせたことによって妙味を発揮した。本格的な冬装束には早いが、なんとなく薄ら寒いという気分を「黄昏の両手ポケット」と言ったのが秀逸だ。(水)

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