秋冷や星空に飲む白ワイン    高橋 ヲブラダ

秋冷や星空に飲む白ワイン    高橋 ヲブラダ

『この一句』

 「秋冷」という兼題に投句が四十句、そのうち酒類を詠んだ好句が三句並んでいた。私がその中からこの一句を選んだのは「星空」と「白ワイン」のためだろう。「ホットワイン」や「ぬる燗」の句も捨て難かったのだが、身震いをするような空気の中に立つ作者の姿が浮かんできたからである。
 「星空」とある。自宅やレストランの窓からガラス越しに夜空を眺めることもできるだろう。しかし句の雰囲気からしてワイングラスを持ち、ベランダとか庭に出て行ったのだと思う。なぜ、わざわざ外に? 理由は単純、作者は晩秋の星空を見上げながら、白ワインを飲んでみたかったのだ。
 風流とはこういうものではないだろうか。辞書によれば「みやびやかなこと」「俗でないこと」などとあるが、その裏に「やせ我慢」が潜んでいるように思われる。本欄の三句前、物干し台で酒を飲みながら満月を眺めていた作者も、この句を選んでいた。共感するものがあったに違いない。(恂)

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