曼珠沙華遺品整理の嫁二人     向井 ゆり

曼珠沙華遺品整理の嫁二人     向井 ゆり

『この一句』

 この句は句会で大いに注目を集め、さまざまな意見が出た。“もの余り時代”とも言うべき今日この頃だから、高齢で逝ったオバアチャンは着物や宝飾・小物類をはじめ、先に逝ったオジイチャンの書画骨董に至るまで、ありとあらゆる物を遺した。ほとんどはガラクタと言っていいような物ばかりだが、中には貴重品もあり、家族にとって大切な思い出の品もある。まずは「遺品整理」を行いゴミを処分し、価値ある物を家族や親類縁者、知人へ配る「形見分け」を済まして一件落着となる。
 その第一段階の整理作業が大仕事なのだが、「やりましょう」と言う人がいない。男どもはこういうことになると全く無能。実の娘は他家に嫁に行ってその家に根を生やした年月の方が長く、実家の様子には疎くなっている。結局は長男次男の「嫁二人」が引き受けることになる。
 「初彼岸の前後あたりでしょうか。嫁二人が残暑に汗をにじませながら、せっせと故人の遺品を片付けているさまを彼岸花がそっと見ている。生き残った人たちは忙しい」(阿猿)という評がその情景を端的に述べている。(水)

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