身に沁むやあっという間と言う百歳    高瀬 大虫

身に沁むやあっという間と言う百歳    高瀬 大虫  

『おかめはちもく』

 まず「身に沁む」について。俳句では普通、「身に入む」で、皆様ご存知のように「みにしむ」と読む。これが俳句の常識であり、一般社会の非常識となる。作者はそこで「沁む」を採用し、「あっという間」には小さい「っ」を用いた。常識優先の作者のセンスには全面的な賛意を表したい。
 ただし句の出来、あるいは完成度という面からは、残念ながら賞賛の声を送ることは出来ない。最大にして唯一の問題点は、「あっという間と言う~」である。「いう」と「言う」の重なりに軽快さが感じられず、もし意識してこのような言い回しにしたとすれば、成功作とは言い難い。。
 秋は、森羅万象、ことごとく身に沁みる時節である。ことに超高齢者の「百歳なんて、あっと言う間」という言葉を聞けば、人生の儚さを思わずにいられない。しかし傘寿にしてなお青年の雰囲気を残す作者なら、少々の間合いをはかって、百歳の弁を受け止めるべきではないだろうか。
 添削例  身に沁むや百歳あっという間とは   (恂)

この記事へのコメント