場所入りの風呂敷ひとつ夢一つ    田中 白山

場所入りの風呂敷ひとつ夢一つ    田中 白山 

『合評会から』(番町喜楽会)

哲 新弟子が風呂敷一つで場所に向かう。出世の思いを胸に抱いて。初々しくていいですねぇ。
水馬 「末は見ておれ」、という気概が伝わってきます。ゴロのいい句です。
冷峰 確かに口調がいい。同系の句もあったが、これはよく詠んでいると思います。
春陽子 「風呂敷一つ夢一つ」。力士はみな出世を夢見ている。土俵にはお金が埋まっているんだ。
啓一 新米力士の場所入りの様子がよく表れている。気概を感じますね。
水牛 弟子入りの時なら風呂敷一つでよさそうだが、「場所入り」だと、どうかな。
白山(作者) これは本場所の土俵に向かう若い力士です。午前中に土俵に上がる下っ端は、まわしを包んだ風呂敷を担ぎ、両国駅から国技館に向かう。長髪の相撲取りのそんな様子を実際に見ました。
       *      *
 「相撲」は秋の季語。宮中の節会が起源だというが、両国で秋場所が始まると、相撲の季節だ、と感じるから不思議。一握りの著名力士より、その他大勢の若手に相撲の風情を感じるのも不思議だ。(恂)

この記事へのコメント