山薄暑どっしり夕日うけとめり 池村 実千代
『おかめはちもく』
新緑の山が夕日を受けてどっしりと、少し涼しい風も吹いて、なんとも言えない心地良さが伝わって来る。やさしい言葉遣いで詠んだ感じの良い句である。ただ、言葉の組み合わせに問題があるようで、何となく落ち着かない。
「山薄暑」と一繋がりの言葉にして上五に据えたのは悪くないのだが、そのすぐ下にまた「どっしり」という山の様子を言う言葉を添えたために、「薄暑」が挟み撃ちになってしまった感じである。さらに「うけとめり」という言い方も、間違ってはいないようだが、少々不安定な止め方だ。
作者は東側に山が連なる平野の真ん中に居て、夕日に照らされている山を仰いでいるのだろう。昼間はかなり暑くなったが、今はそれもおさまってきた。山の襞になった所は夕暮れの色合いを増してきたが、尾根や稜線はまだ明るく輝いて実に印象的だ。そういう山の様子を「どっしり」と讃えたのだから、それを生かしたい。
(添削例) どっしりと夕日受け止め山薄暑 (水)
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