薄暑かな桜島背にナポリ祭     流合 研士郎

薄暑かな桜島背にナポリ祭     流合 研士郎

『この一句』

 ローカル色あふれ、楽しげな様子が伝わって来る。鹿児島でナポリ祭というお祭りをやっているのだろう。私はそれを見たことはないのだが、鹿児島の中心部にナポリ通りというのがあって、毎年五月、そこを中心にピザやパスタや本場イタリア料理の屋台が出たりして、人気上々のイベントが繰り広げられるらしい。桜島の噴煙を背景に、ヴェスビオ火山のナポリから人を招いて、賑やかに祭を繰り広げている。イタリアワインと薩摩焼酎が飲み放題なんてことも・・。
 国際化という時代の流れで、各地で外国の姉妹都市と提携したイベントが行われている。浅草で八月に行われるサンバ・カーニバルが有名で、本場リオから踊り子を招いたり、コンテストをやったりして五十万人以上の人出で物凄い賑やかさだ。
 鹿児島ナポリ祭は果たしてどんなものか。「薄暑かな」と頭に季語を置いたこの句からは、それほどのバカ騒ぎではなく、爽やかな催しという感じがする。地名を句に詠むのは難しいものなのだが、この句は「桜島背に」という措辞がとても効いている。(水)

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