サイダーの泡のはじけて初夏の風 石黒 賢一
『合評会から』
照芳 プチプチという泡のはじける音が聞こえてきそうです。
賢一(作者) サイダーははじけて、顔に当たりますね。あの様子を表現したかったのですが。
而云 サイダーも夏の季語ですが、(初夏との)季重なり感はあまりない。
敦子 いかにも初夏らしい風景。サイダーって本当に懐かしい飲み物ですね。
信 ところが清涼飲料水の中で、いま一番売れているのがサイダーらしいです。(えっ、本当?の声)。
* *
「泡がはじけて」と「初夏の風」によって、顔に当たった泡が瞬間的に気化していく、あの清涼感が生まれていると思う。「サイダー」は夏の季語で、兼題だった「初夏」との季重なりになるが、作者は気付かずにこのように詠んだらしい。季重なりを避けていたら、泡が顔にはじける感じが生まれたかどうか。
それにしても「清涼飲料の中でサイダーが一番売れている」というのは意外。かつてはラムネより高級感があったが、今では大衆的な夏の清涼飲料の代表格になったようだ。「顔にプチプチ」。いい感じですね。(恂)
この記事へのコメント