夏初め母亡き庭の草むしり 石丸 雅博
『合評会から』(三四郎句会)
久敬 亡くなったお母さんを偲びながら、庭の草を抜いているのだろう。しみじみとした風景です。
照芳 私も同じように感じました。家にはもう誰も住んでいないのかも知れない。私の場合を言えば、家内の母が独りで住んでいるので、いろいろ考えさせられました。
正義 お母さんが亡くなって間もない感じですが、草むしりや庭掃除は一回やって終わりというものではない。これからは毎年、命日には草を抜きに行くのでしょう。
進 親が亡くなって誰も住んでいない、そういう家が最近、増えているそうです
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かつては自分が育った家なのかも知れない。そこにご両親が住んでいたのだが、何年か前に母親だけになり、今では住む人がいなくなった、という状況を思い描く。初夏は雑草が最も勢いよく伸びて行く季節である。放置しておけば手がつけられなくなるだろう。草むしりはなかなかの労働だが、亡き母との会話が始まるのではないだろうか。「お母さんも、こうして草を抜いていたのですね。秋にまた来ますよ」。(恂)
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