山峡に十軒の屋根濃山吹     廣上 正市

山峡に十軒の屋根濃山吹     廣上 正市

『合評会から』

哲 映像的な句ですね。峠を登って行って眼下に十軒くらいの村があり、農家の庭先に山吹が咲き乱れている、という風景ですね。のどかな雰囲気が感じられます。
反平 同じような風景を見たことがありましてね。房総の方に行たら、谷が切れ込んでいて、人家があった。句にしようと思ったが、うまく纏まらなかった。この句は上手いですね。
正裕 「十軒」というのがどうですか。数えるのに時間がかかりますよね(笑い)。二、三軒ならいいけど。まあ、それはさておき、いい句だなと思いました。
万歩 春雨にけぶる山峡の里の景が浮かんできました。
               * *
 山峡は「やまかい」あるいは「やまあい」と読む。山と山の間のことだが、万葉集の作例には「山間の人里」といった雰囲気があった。句は山道から見下ろした一部落の風景なのだろう。十軒ほどの農家が固まっているが、人は見えず、山吹の黄が濃い。日本画的な雰囲気が浮かび上がってくる。恂)

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