春の雲分け入り逝し紫電改     河村 有弘

春の雲分け入り逝し紫電改     河村 有弘

『合評会から』(三四郎句会)

賢一 紫電改(しでんかい)は(第二次大戦時の)戦闘機ですよね。性能はよかったが、多くの飛行士がこの機に乗って逝ったはずで、胸にジーンとくる思いです。
照芳 あの時代のことを「春の雲」によって、うまく詠んだと思う。
正義 米軍機と戦った紫電改の名は子供だったわれわれもよく知っていた。
豊生 ゼロ戦の後につくられた紫電を、さらに改良したから「紫電改」なんですね。この句は、あの機に乗って逝った若者へのオマージュでしょう。
而云 しかし古いね。今の人は分からないだろう。
信 私は毛生え薬(同じ名の育毛剤がある)かと思いました。
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 ある世代だけしか理解できない語がある。「紫電改」が一例で、中年以下にも理解させたいなら「戦闘機紫電改」くらいにはしたいが、五七五の中には収まりそうにない。俳句にはこんな難しさも付いて回る。(恂)

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