朧夜の大地うごめく気配かな     嵐田 双歩

朧夜の大地うごめく気配かな     嵐田 双歩

『合評会から』(番町喜楽会)

白山 「うごめく」と「朧夜」の組合せの醸し出す、なんとなく不気味な感じがいいですね。
健治 「うごめく」が動的で、虫や動物などの生命が土の中から出てくる気配があるでしょう。それと「朧夜」の対比が漱石の「夢十夜」のような、おどろおどろしい世界を作っています。
斗詩子 「朧夜」と「うごめく」という、春の夜の静けさと動きの組み合わせにとても惹かれました。
光迷 動物も草木も朧夜の空気の中で、何やら動いている感じ。「大地うごめく」と捉えたところがうまい。
百子 朝の庭にモグラの黒い盛り土を見つけ、夜動いているんだなと思う様なことがあります。
可升 私は皆さんと違って、地震の起こる予兆の様なものかと思った。朧夜にはそんな気配もあるでしょう。
           *         *
 作者の意は「地中に潜む生き物のこと」のようだが、私は可升氏と同様「地震の巣のうごめき」と受け取り、俳句は何と難しい、奇妙な文芸か、と思った。この句はどちらに解釈しても、優れた作品なのだ。そしてまた「朧夜の天地うごめく」としても面白い。「大」の上に線を一本乗せただけなのに。(恂)

この記事へのコメント