掛け直す子どものふとん春浅し     高橋 ヲブラダ

掛け直す子どものふとん春浅し     高橋 ヲブラダ

『この一句』

 優しい母親の姿が浮かんできて、誰もが「いい句だなあ」と思う佳句である。「子育てのころ私も布団をよく掛け直していました。母親の気持がよく出ています」(三代)、「昔々、団地の六畳に四人で寝ていたころ、掛け直していたのを思い出します」(二堂)と、句会ではジイサン、バアサンの別無く昔を懐かしんで取っていた。
 「春浅し」季節は二月。外はまだ真冬の寒さだが、時に気圧配置の変化で三月から四月の気温になることがある。それに、室内はもちろん暖房完備。幼児は外気温の変化に対応しての体温調節がうまくはかれないのか、新陳代謝が活発過ぎるせいか、暑いとすぐに布団をはいでしまう。放っておけば、明け方の冷え込みに遭い、たちまち風邪を引く。若い母親、父親は気が気ではないのだ。
 「泣き止まないから、アタマにきて振り回していたら息をしなくなった」などと供述する父親、母親が輩出する昨今、こういう句を見ると、涙が出るほど嬉しくなる。(水)

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