天かけて龍立ち昇るどんど焼き    吉田 正義

天かけて龍立ち昇るどんど焼き    吉田 正義

『合評会から』(三四郎句会)

賢一 どんど焼きの勢いは、まさに「龍立ち昇る」ですよ。
而云 写真などを見て、頭の中で左義長の勢いを描き出そうとしても、このようには詠めない。作者は焔の立ちあがるのを実際に近くで見ていたのではないだろうか。
照芳 私はどんど焼きを見たことがないが、うまい表現だと思った。
正義 (作者)子供の頃から、「あの火は龍なのだ」と聞いていた。立ち昇る焔は一本の火ではない。分裂したり、からみ合ったり、本当に龍の感じがした。
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 「天かけて」は「天(あま)翔けて」だろう。辞書には「鳥や神、人の霊魂などが天空を走り飛ぶ様子」などと説明されている。龍はもちろん天翔ける霊獣である。人間は大昔から、盛大に火を燃やした時、高々と立ち昇る焔を見つめて、あれは龍なのだ、と胸をときめかせていたのだろう。父から子へ、あるいは祖父から孫へと語り継がれた言葉が、いまなお俳句を通じて我々に伝えられている。(恂)

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