雪女ふりむく顔は壇蜜だ     田中 白山

雪女ふりむく顔は壇蜜だ     田中 白山

『おかめはちもく』

 細面で淋しげの表情、というのが雪女の定番である。しかしそうだろうか、とこの句は問い掛ける。タレントの壇蜜さんはどちらかと言えば丸顔だ。淋しげな顔を見せる時もあるだろうが、おおよそは明るい表情をしている。ところが彼女には雪女と呼びたい雰囲気があり、この着眼点には拍手を送りたい。
 ただし句の構成には、ちょっと注文をつけたくなった。人気の女優やタレントの個人名を俳句に詠み込むのはかなり異例である。一種のキワものだけに、油断すると遊びの側面が目立ってきてしまうのだ。一歩誤れば俳句の常道からはみ出すことにもなり、この句はその一線を越えたか、とも思われる。
 「ふりむく顔は壇蜜だ」は、俳句の詠み方として違和感がある。最初に「雪女」と、正体を見せてしまったのも面白くない。雪がちらつく中、後ろ姿の女性が淋しげに立っている。「はて、この女性は?」。振り向いた女性は壇蜜の顔、しかも彼女は雪女だった、という展開がいいのではないか。そこで・・・
(添削例) 振り向けば壇蜜の顔雪女 (恂)

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