老櫻の余さず浴びる冬日かな     徳永 正裕

老櫻の余さず浴びる冬日かな     徳永 正裕

『合評会から』(番町喜楽会)

水馬 春を待つ老桜ですね。景がよく見えてきます。私や仲間のことも連想させられる。
幻水 老桜と冬日の響ききがいい。桜の太い幹が冬日を浴びているんですね。
春陽子 落葉樹は枯木の時期です。「余さず日を浴びる」に素晴らしい日当たりが感じられる。
大虫 冬の日が当たることによって、老桜の幹があからさまになる。枝が切られていたり、幹が荒れていたりしているのでしょう。葉の茂る時期なら、この句の表現するような様子は見えないはずだ。
満智 「余さず浴びる」に、年を経た桜の貫禄を感じますね。
斗詩子 春爛漫の頃、見事な花を咲かせた老桜の姿が浮かんできます。
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 正岡子規は擬人法を「月並句」の条件の一つに挙げ、乱用を戒めている。しかしこの句は、一種の擬人法ではあるが、「花が笑った」「山が黙する」のような臭みがない。作者が見たままを、我身に近づけて表現しているからだろう。選者の言葉にも老桜を自分に置き換えるような雰囲気が感じられる。(恂)

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