冬すすき日増しに穂先細くなり     堤 てる夫

冬すすき日増しに穂先細くなり     堤 てる夫

『この一句』

 ススキは日本の土地柄に本当によく合った草なのだろう、どこに行ってもある。海岸にも、川べりにも、野原にも山にも生い茂る。いろいろな種類があって、土地土地に適した性質のススキが群落を作っている。他の草が育たない荒れ地でも、何とか生き長らえる感じで、短くしかし逞しくしっかりと地面を捉えている。それが一旦条件の良い野原などに生えるやたちまち鬱蒼たる薄原を作り、人の背丈を越すほどに伸びる。
 昔は「カヤ」と呼んで晩秋に刈り取り、屋根材とした。これを編んで炭俵を拵えたり、スダレにもした。貴重な資材だったのだが、今ではそういう用途が廃れ、ススキはいたずらに枯尾花を咲かせるだけになった。
 これはそうした立ち枯れの冬薄を見つめた句である。毎日歩く道の端に茂っているのだろう。九月の仲秋名月の頃には金色につやつや輝く穂を靡かせていたのに、だんだんと色が褪せて、十二月ともなるとすっかりすがれて、穂先はちびてしまった。ただそれだけを詠んだものだが、身につまされる思いを抱く。冬すすきに事よせた叙情句とも受け取れる。(水)

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