名にひかれだだちゃ納豆まとめ買い     大平 睦子

名にひかれだだちゃ納豆まとめ買い     大平 睦子

『この一句』

 気取らない納豆の雰囲気がよく出ている。近ごろ、ヨーグルトをはじめ発酵食品が人気を呼んでいるが、納豆もその横綱格で、昔は納豆など見向きもしなかった関西人までが食べるようになった。それにつれてメーカーは続々新商品を開発して売上げを競う。スーパーやデパ地下の食品売場には一個三、四十円のものから三百円もするものまで、何十種類も並んでいる。
 この「だだちゃ納豆」もその一つだろう。山形・庄内地方特産の枝豆に「だだちゃ豆」というのがあるが、その大豆で作った納豆なのか。だだちゃ豆人気にあやかって単に庄内方言を用いただけなのか。とにかく作者はその名前が面白くて、ついついいくつも買ってしまったというのである。“ブランド納豆”というわけで、特売納豆の何倍もするのだろう。しかし高いとは言っても「まとめ買い」できるところが、また、納豆のいい所で、そんな面白さも感じられる句だ。
 俳句の伝統表記法から言えば、旧仮名で「まとめ買ひ」とすべきなのだろうが、こういった日常生活句の面白味を生かすには現代仮名遣いの方がいいようだ。(水)

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