十一月アメ横はやも啖呵売     岡本 崇

十一月アメ横はやも啖呵売     岡本 崇

『この一句』

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「十一月」が三四郎句会十一月例会の兼題になった。難しい季語だけに、どんな句が出てくるかと注目していたが、例えばこの句など「上手いもんだ」と思う。JR山手線・上野、御徒町のガード下を中心に広がる「アメ横」商店街の雰囲気を巧みに伝え、ベテランに相応しい詠みっぷりを披露している。
 「啖呵売」は「たんかばい」と読む。この世界に詳しい人によると、北九州市・門司港のバナナのたたき売りが元来のスタイル。同港は明治時代から輸入バナナの荷揚げ・保存の基地で、傷み始めたバナナを早めに処分するために、独特の口上による威勢のいい売り方が出来上がったという。
 やがて各地の祭や縁日でおなじみになり、映画「寅さん」でさらに広く知れ渡る。アメ横の売り方も、なるほど「啖呵売」の流れだ。大勢の客を集めるのは、やはり客の心理を掴んだ巧みな売り手のいる店である。あたりには早くも歳末、の雰囲気が漂っているのだろう。即ち、アメ横の十一月である。(恂)

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