スカイツリー影が延び行く秋彼岸     深田 森太郎

スカイツリー影が延び行く秋彼岸     深田 森太郎

『この一句』

 秋彼岸ともなるとかなり日が短くなっている。真夏七時近くまで明るかったのが、五時半くらいでもう暗くなる。そぞろ淋しくなる感じをスカイツリーの影が延びていくことで表した。
 二〇一二年五月に開業した東京スカイツリーは今や東京名所の一つとしてどっしりと根を生やした。開業当初は新聞、雑誌でそれこそげっぷが出るほど目にしたスカイツリー句も、ようやく熱が冷めたのか落ち着いた。そうして、このように靜かな句が出て来るようになった。
 「定点観測」というものがある。元々は海洋に観測船を浮かべ、その位置での気象変化を時系列的に得るという、気象学の言葉だった。しかし、気象衛星などもっと精密正確に行える機器が生まれて廃止された。それに代わって、流行を掴むために銀座四丁目交差点でのファッション調査とか、浅間山の噴煙の状態観測カメラとか、暮れの東京駅乗降客のマスク着用率などといった調査に用いられる言葉になった。スカイツリーも立派な定点観測物になる資格がある。ここに視座を定めて十二ヵ月の句を詠んでみたらどうだろう。(水)

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