妻の背を流すがごとく墓洗ふ     田村 豊生

妻の背を流すがごとく墓洗ふ     田村 豊生

『合評会から』(三四郎句会)

賢一 墓を洗いながら、亡くなった奥さんを思い出している。スベスベした石の肌触りなのだろう。
雅博 こういう気持ちになれたいいですね。いい夫婦だったのだと思います。
諭 私はこんな風に墓を洗ったことがない。丁寧に愛しむ感じがよく分かる。あやかりたいものだ。
照芳 すらっと読めて、墓を洗う夫の気持ちが伝わってきます。
崇 自分に引きつけて詠んで、奥さんへの心情を吐露している。
而云 「ごとく」を使わないで、こう詠めたらもっとよかった。
           *               *
 墓石の正面には「〇〇家先祖代々墓」などがあり、左右は戒名が彫られていることが多い。しかし背面に文字はなく、全面がスベスベしている。句の主人公はまず正面をきれいに拭い、左右を洗う。そして墓の背面に向かい、妻の背を流すがごとく・・・。かつて奥様の背中を風呂場で洗ってあげていたに違いない。うーむ、よくぞここまで詠んだ、と感嘆。やがて、心が洗われるような、気持になって行った。(恂)

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