日本丸マストの先の星月夜        岡田 臣弘

日本丸マストの先の星月夜        岡田 臣弘

『この一句』

 「星月夜」は一般の人のあまり知らない用語の一つだろう。歳時記では「星明りの夜」と説明されている。つまり月のない夜空に星が明るく輝いている夜のこと。星の光だけで、月夜のように明るい夜、とも言えよう。作者はそういう夜に横浜港を散策し、係留されている日本丸の近くを通ったのだ。
 日本丸は海洋練習用の大型帆船として世界の海を巡った。帆も船体も純白の美しいヨットで、「海の貴婦人」とも呼ばれていた。戦前の一九三〇年に進水、全長九十七叩▲瓮ぅ鵐泪好箸旅發気六予熟鮫叩8什澆浪I諭Δ澆覆箸澆蕕っ篭茲瞭鐱楷櫂瓮皀螢▲襯僉璽内で展示、公開されている。
 作者は日本丸のマストを見上げた。月はなく、帆を畳んだマストの先の夜空に星が輝いていた。太平洋戦争中、日本丸は帆を外され、石炭などの輸送船になったことがあった。敗戦直後は海外在留邦人の帰還にもあたった。博識の作者は帆船のそんな歴史を思いながら、星月夜を眺めていたのだと思う。(恂)

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