フリットでイタリアンです今日の鯊     斎山 満智

フリットでイタリアンです今日の鯊     斎山 満智

『この一句』

 かつて、江戸前(品川・月島あたりの海)で釣って来たハゼを家で食べるとしたら、天ぷらと相場が決まっていた。小さい割に頭の大きな魚だから、捌いてしまうと身がほんの少しになってしまう。せめて天ぷらの衣で太らせよう、という魂胆もあったが、何より他の料理を思いつかなかったのだ。
 ところがこの句、フリットでイタリアンときた。フリットとは何か? 調べてみたら、衣に泡立てた卵白を加えて揚げた料理のこと。衣が膨らみ、カリッとしているらしい。これは美味そうだ。天ぷらの一種かも知れないが、片仮名が洒落ている。同じ江戸前の小魚・キス、メゴチなどもいけそうである。
 ある家庭を思い描く。夫が数十年ぶりのハゼ釣りに出かけ、釣果はまずまずの五十尾ほど。料理自慢の妻がハゼを手際よく捌き、センスのいい一品に仕上げた。「何だい、これは」と夫。「フリットよ」と妻。夫は「ふーん」と頷きつつ「焼酎は止めて、白ワインにしよう。なにしろフリットだからな」。(恂)

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