秋立ちて退位ご決意淡淡と     堤 てる夫

秋立ちて退位ご決意淡淡と     堤 てる夫

『合評会から』(日経俳句会)

正裕 天皇のビデオ放映を詠んだ句が並んでいましたが、その中でこれが一番。天皇は言いたいことが沢山あったのでしょうが、まさしく「淡淡と」心情を述べられていた。立秋の後のことで「秋立ちて」の季語もいい。何より「淡淡と」がいいですね。
智宥 「天皇のお気持ち沁むや秋の声」というのもなかなか良かった。しかし、やっぱり「淡淡と」が一番合っているのかなあ。
庄一郎 時事俳句ながら感銘を受けた。「淡淡と」が上手いと思いました。
綾子 「象徴」についてのお考えに深く感銘を受けました。
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 さすがに新聞社関係の句会ということもあって、時事句がよく出て来る。八月句会でも今上天皇の退位希望を滲ませるビデオ放映についての句が五つ六つ出た。この出来事についての受け取り方は人さまざまだが、それについてあれこれ言うのでなしに、まさに淡淡と詠んだところがいい。ずっと後にまで残る句であろう。(水)

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