七月の空へ空へと山育つ 大下 綾子
『合評会から』(番町喜楽会)
てる夫 くどくど説明せずに、緑濃くなる七月の山、上へ伸びて山が大きくなっていると。山と空の色が見える。
百子 毎日山を見ている暮らしですから、この感じ良く分かります。
二堂 枝も葉も七月の空へ向かって伸びて行きます。
満智 「空へ空へ」という繰り返しが伸び伸びした感じで気持がいいのと、「山が育つ」という擬人化表現が新鮮だなと思いました。自然を描写するのに、こういう風にするんだなと感心しました。
健治 私も「空へ空へと」という言い方に勢いがあっていいなと思いました。
光迷 そうですね、自然の、元気な様子がよく表されて、こっちも爽快になってきます。
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七日の当欄に登場した「七月の雨の精気よ森太る 大虫」が梅雨をたっぷり吸い込んで太る森の様子を詠んだのに対し、こちらは梅雨の晴れ間か梅雨明けか、真っ青に晴れた空へと伸びる木々の清新な姿。七月の天気の両面を交々詠んで、どちらも面白い。(水)
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