十八歳一票背負ひ半夏生 野田 冷峰
『この一句』
「これが俳句か」という論難があるかも知れない。しかし私はあえてこの句を採った。大筋では俳句は花鳥諷詠の文芸だと思っているのだが、やはり、時代相を映す句を詠むことも大事なのではないかと思う。これを「詩」に昇華せしむるのは至難の業で、大半は後世に残るような作品足り得ないものに終わるとしても、詠み止めておくことに価値があるのではないか。
七月十日の参院選は後世、時代を画す選挙だったと位置づけられる選挙であろう。選挙権年齢を十八歳に引き下げ、若者の意思を国政に反映させるようにした。そして自民党政権は野党勢力の弱体化を見すまして、憲法を作り替えるに必要な参院での三分の二議席確保を目指し、まんまと成功した。
新たに選挙権を得た240万人の若者の多くは、将来自分たちがその重荷を背負うのにもかかわらず、現状追認、あるいは棄権ということで改憲勢力を応援した。時あたかも暑苦しい半夏生の候。ハンゲ(カラスビシャク)という毒草であり薬草でもある草の生ずる季節であるのも、なかなか意味深長である。(水)
この記事へのコメント