七月の雨の精気よ森太る 高瀬 大虫
『合評会から』(番町喜楽会)
健治 七月の雨の「精気“よ”」と語りかけている。これがいいのか、悪いのか、私には印象深かったが・・・。ちょうど森の精気が盛り上がってくる時期なんですね。
双歩 「雨の精気」ねぇ、よくこんな言葉を思いつくものだ。それに「森太る」も。感心しました。
水牛 そう、雨の精気がいいですね。七月の雨は六月の頃と違って勢いがあるから、雨粒がどんどんながれ落ちて行く。森も大きくなって行く感じがあります。
而云 鍵和田秞子さん(「未来図」主宰)が、切れ字の「や」に関して、「口語俳句なら、“よ”の方が使いやすい」と言っています。この句は「よ」によって、精気に精気が宿った感じですね。
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雨の精気。「よくこんな言葉を思いつくものだ」と双歩さん。なるほど、と思い、念のため広辞苑で「精気」の意味を調べてみたら、「万物生成の元気」「生命の源泉たる元気」「物の純粋な気」「たましい」など。なるほどねぇ、と甚く感嘆した。このような適切極まる措辞に、私は今まで出会ったことがない。(恂)
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