月涼し水を張りたる田んぼかな 前島 厳水
『合評会から』(番町喜楽会)
健治 懐かしい感じがしました。原体験かな? 夏の暑い中での涼しい感じ、いいですね。
二堂 田植えの終わった田んぼを見ているのでしょうか、月明かりに植えた苗の緑が揺れているのでしょうか。
水馬 「田水張る」と「月涼し」は季重なりじゃないのですか?
而云 「月涼し」で切れて「かな」で終わると二段切れみたいですね。上下入れ替えたらいいのでは?
双歩 「夏の月」としたら切れが弱まるのではないでしょうか。
* * *
俳句のメリハリをつける「切れ」は難しい。それと「季重なり」の問題。これを巡って議論百出だったが、それはさておき、「水を張りたる田んぼ」と「月涼し」がしっくりと合っている。句全体で初夏の風情を表し、季語の重複や二段、三段切れの欠点が覆い隠され、好感の持てる句になっている。(水)
この記事へのコメント