伊勢志摩に平和模索の薄暑かな     石丸 雅博

伊勢志摩に平和模索の薄暑かな     石丸 雅博

『この一句』

 二週間前の句会に出された時事句である。伊勢志摩サミットで何が話し合われるのか、大筋は分かっていた。たぶん、こういうことになるだろう、との見通しのもとに詠まれている。その後に沖縄で米軍関係者による殺人事件が発覚したが、それはそれ、これはこれとして、日程を終えていくのだろう。
 最大の論点は経済だという。しかし世界の大国の首脳が集まって議論するのだ。中東の戦闘はどう収めるのか、増大する難民問題をどのように解決するのか、などの方が重大かつ難しい問題のように思える。見通しは甘くなく、それらを勘案しての「模索」「薄暑」が今サミットの状況をうまく表している。
 この後は俳句とは別のことを言わせて頂く。サミット開催が決まって以降、日本政府首脳の言葉は虚しいものばかりである。発言の裏側に、現政権のため、次期選挙のための意識が丸見えなのだ。世界平和、人類の幸福などを心底から実現しようとするリーダーが、日本には生まれないのだろうか。(恂)

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