海風や菜めしに混じる黄の蕾 高瀬 大虫
『合評会から』(日経俳句会)
光迷 房総あたりかな。菜の花も咲くし菜飯も美味そうだ。春を感じさせる句ですね。
水牛 その通り。菜の花ご飯でしょう。黄色い花が少し見えて美味しそうだ。感じのいい句です。
正裕 「海風や」の上五がミソだと思うんです。光迷さんの言うように、房総の色彩と海を感じます。
十三妹 黄の蕾は菜の花でしょう。緑の葉の色に海風で、いっそう美味しそうです。ささやかな所を見つめて、大きなスケールを表しており、感動しました。
大虫(作者) 菜飯の緑があって菜の花の黄色があって、そこに海の青を入れたらと思った。
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海風は日本列島の周辺全域に吹いているし、黄花を咲かせる野菜はほかにもある。ところが場所は房総、黄の蕾は菜の花、と思わせてしまうこの句の不思議さよ。不肖・筆者はそれと知りながら、最終選句から外してしまったが、各コメントを読むうちに、句に込められた技巧に気付かされて行った。房総の海風を感じながら、菜の花ご飯を食べてみたい。いや本心は、こんな句を作ってみたい、かな。(恂)
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