蝶ひらりあの日の嘘ももう時効 廣田 可升
『合評会から』(番町喜楽会)
冷峰 もう時効、ですか。重い嘘なのか、蝶がひらりと軽くいなす感もある。嘘をこんな風に捉えるとは・・・。
春陽子 この人は蝶が飛ぶように軽々と嘘つき、軽々と詠む。これも俳句の世界。楽しい句ですね。
「春陽子さんの句かと思った」の声。「いや、僕はあんまり嘘つかない」「もう嘘ついている」(爆笑)。
恭子 結婚前、つきあっている時の駆け引きみたいなものがあって、ご夫婦になって何年にもなると、もうそれは時効となるのかな・・・、などと思って頂きました。
斗詩子 あの日、嘘と知りながら、ひらりとかわされ、傷ついてしまった。今は蝶のふんわりとした舞いを見て、あれはもう時効なんだ、と思う。そんな感じでしょうか。なかなかいいですね。
光迷 同窓会か何かで久し振りに会って「あの日のことは、本当はこうだったんだよ」と軽い気持ちで言うような、時の移り変わりを感じさせて、すばらしい句です。
作者(可升) これ、昔の仕事場で、部下を叱咤激励するための……。(エッ、そうなの、と皆がっくり)
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「嘘も」と「嘘は」のことで、誰かの面白い指摘もあった。「嘘は」であるべき、と私は断言する。(恂)
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