休耕田見守る羅漢春深し 谷川 水馬
『この一句』
安倍政権は先頃締結したTPP(環太平洋経済連携協定)を国会に批准させたいと躍起である。輸入自由化によって日本農業が壊滅的打撃を受けるという危惧を払拭しようと、農家の保護はもちろん、農地の大規模集約化・法人化を進め、休耕田も無くし・・等々、あれやこれやの手を打っている。一方、日本産の米や野菜、果物が質の良さを買われて世界中に大人気で輸出急増などというニュースを意図的に流す。しかし、それはあくまでも例外的ケース。国際市場価格からすれば飛び抜けて高い日本の農産品がそんなに沢山売れるはずがない。あれこれあっても、とどのつまり日本農業に明るい未来はうかがえない。
それに第一、田畑を耕す働き手が農村地帯からどんどん離れてしまっている。これから先、休耕田はますます増えていくのではないか。そして、二束三文になった農地は、「農業法人」の皮衣をかぶった外資に買われ、瑞穂の国がむしばまれて行く恐れ無しとも言えない。
「休耕田ですから、回りは枯れ草。うらぶれた感じの羅漢さんがつくねんと・・・春深しの雰囲気が漂います」(正裕)。時事句の秀逸である。(水)
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