龍天に背伸び競ふやチューリップ 澤井 二堂
『合評会から』(日経俳句会)
臣弘 かわいらしい句だ。チューリップが一生懸命伸びている様子がわかる。
守 龍天に登るという言葉に対して、片やチューリップという身近な花を持ってきているところがいい。
阿猿 かわいいチューリップだが、花びらなどにいろいろな変わり種もある。空に口をあけている形も龍天に登るに合っている。
* * *
「龍天に登る」という、なんとも大時代でおどろおどろしい言葉に、「チューリップ」という洋風な可愛らしい花を持ってきた。その取り合わせの違和感にまず驚くが、そのうちになんとなく「いい具合に付いているな」と思うようになってくる。晩春のうららかな日和、公園にはチューリップが花壇一杯に咲き競っている。みんな空を見上げて咲いている。その真っ青な空に、龍がまっしぐらに登って行く・・。その龍は古い掛軸にあるような恐ろしいものではなく、童話に出て来るような可愛らしいちびっ子竜に違いない。(水)
この記事へのコメント