しゃぼん玉飛んで弾ける白昼夢      流合 研士郎

しゃぼん玉飛んで弾ける白昼夢      流合 研士郎

『季のことば』

 しゃぼん玉を吹くと、ストローの先でくるくると廻りながら大きくなっていく。風があれば細長くなびくこともあるが、周りの景色を映しながらなおも廻っている。やがてストローから離れると、ようやく自分の世界を得て、悠然と、時には生き急ぐように飛んでいき、必ずパチンと弾けてしまう。
 この句、「弾ける」が、しゃぼん玉と白昼夢の双方にかかっている。しゃぼん玉が弾け、作者の白昼夢もまた、ということだ。さらに、しゃぼん玉が抱いていた夢も破れた、とも思えるし、句の読み方よっては「人の夢、この世の夢が、弾けてしまったのだよ」と怖いことを言う人がいるかも知れない。
 俳句は省略の文芸だという。省略によって、さまざまなことを読み手に連想させる文芸とも言えるだろう。ストローの先で廻っているさまざま世界は、人の世そのものなのだろう。「しゃぼん玉消えた 飛ばずに消えた 産まれてすぐに・・・」。しゃぼん玉は詩人に、こんなことまで考えさせてしまうのだ。(恂)

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