梅二月母の頬紅買ひに出る     横井 定利

梅二月母の頬紅買ひに出る     横井 定利

『合評会から』(日経俳句会)

阿猿 二月は母の誕生月であることを思い出して採りました。梅の花と頬紅、二つのピンクが見えてきます。
臣弘 母親思いの娘の気持ちがよく出ている。私も頬紅使っちゃおう、という下心もあるのかな。女性が選びそうな句だが、男の私もこの娘さんの気持ちを感じて、選びました。
反平 色があってきれいな句です。梅が咲いて春の空気が漂い始め、お母さんも外に出たいと言い出したのですね。娘さんの気持ちもよく分かり、情の厚い句と言えるでしょう。
佳子 お母さん世代の人も、二月は心が華やいで頬紅がほしくなるのですね。
而云 お母さんは寝たきりとかで買い物に出られない。それで頬紅を・・・。「梅二月」と合っています。
定利(作者) 義姉が交通事故で寝たきりで。甥が頬紅を買いに行ったというので、句にしました。
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 作者は男性であった。寝たきりの母の頬紅を買いに行ったのは息子だった。意外や意外、ではあるが、「なーんだ」なんて言ってはいけない。これも俳句であり、俳句という文芸の面白さだ、と私は思う。(恂)

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