花辛夷画家にならむと東京へ       大下 綾子

花辛夷画家にならむと東京へ       大下 綾子

『合評会から』(番町喜楽会)

 正裕 実際にこういう経験をした人の句なのかな、どうなのかな。作者を知りたい気分もありました。辛夷(こぶし)の咲く頃、意気盛んに故郷を出たという、なかなかいいですね。
而云 「画家にならむと」と絞ったのがいい。「野心を抱きて」ではね。作者はS・T氏(美大出のデザイナー)か。いや、作者が誰であろうと選ぶべき句だと思って・・・(「どういう意味か」など、がやがやと)。
大虫 私もそう思ったが、画家よりお金が儲かるデザイナーになったんだから(大笑い。あとは聞きとれず)。
百子 私も(高点句連発の)作者と推測しましたが、違うらしいので。(ほっとした? の声に大爆笑)。
綾子(作者) なんだか名乗りにくくなってしまいましたが、有難うございます。これは辛夷の花から信州を連想し、さらに無言館を連想しての句なのです。
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 句会では常に冷静に句を鑑賞し、何物にも影響されずに評価すべきだ、というのが我が信念。ところが「彼の(彼女の)句かな」と気づいたりすると・・・。そんな時に生じてくる思いは“邪念”と言うのかなぁ。(恂)

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