『合評会』から(三四郎句会)
元旦の障子や松の影うつし 深瀬 久敬
信 元旦の障子に松の影。私が特に惹かれたのは「元旦」なんです。元旦の日の光が、元旦の真新しい障子に当たっている、というところです。大きな日本画の絵を思いました。
論 私もそうです。年末に張ったばかりの、新しくなった正月のための、真っ白な障子ですね。昨年のままの障子だったら、だめでしょう。
尚弘 「障子に松の影」には既視感がありますが、元旦なので新たな印象が生まれた。真白な障子が閉まっている。そこに新年の日が当たって、松の影が映っている。障子がこの句の中心でしょう。
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句を見た瞬間、「名月や畳の上に松の影」(宝井其角)が浮かび、類想の範囲か、と判断し、そのまま見過ごしてしまった。合評会で選んだ人のコメントを聞いて「浅慮」を恥じた。選んだ人は三人とも「元旦の真新しい障子」に焦点を当てて、清々しい朝の様子を頭に描いている。作者も選んだ三人も、其角の句は知らなかったらしい。清新な感覚で、句を作り、句を選んでいたのである。(恂)
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