木の葉髪銀座トラヤでニューハット   澤井 二堂

木の葉髪銀座トラヤでニューハット   澤井 二堂

『合評会から』(酔吟会)

春陽子 モダンな感じがいい。銀座を明るく詠んでいる。
てる夫 銀座のトラヤは知らないんですが、高級な帽子屋なんでしょう。まあ木の葉髪と帽子で、組み合わせとしては常識的な感じですが、言葉の調子がかっこいいんです。
百子 銀座の老舗のハット・ショップですね。伊東屋の向かいあたりだったかな。とてもおしゃれな句です。
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 木の葉髪とは「脱け毛を落葉にたとえていう語」(広辞苑)で、俳句では冬の季語になっている。男の場合にしても女にしても、なんとなく侘びしく淋しい風情である。ところがこの句、一転、すぱっと明るい雰囲気に換えている。
 そう言えば間口はそれほどではないが、銀座二丁目あたりに昔から洒落た帽子屋があった。こういう店で奮発して粋な帽子を買う。それをかぶって歩き出した途端、背筋が伸び、歩幅が広がったりするのだ。(水)

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