秋の灯のふつと消えたり百二歳     大澤 水牛

秋の灯のふつと消えたり百二歳     大澤 水牛

『合評会から』(日経俳句会)

智宥 大往生なのでしょう。「秋の灯のふつと消へたり」とぴったりで、素晴らしい句です。
反平 心情のこもったいい句ですね。ご長寿が「ふつと消える」に表現力を感じる。
大虫 秋の灯の、消えて行き方。まさに大往生の感じがして、いただいた。
双歩 追悼句は難しいが、この句は肩の力を抜いた詠み方で、さらりと・・・
而云 おっしゃる通りです。追悼句は先輩・友達・身内など、必然的に違う詠み方になりますね。
水牛(作者) 尾瀬吟行の帰りに携帯が鳴って、妻の母が逝ったと。泥だらけのズボンを替えて行って、「お疲れ様でした」と言うしかなかった。蝋燭の灯がふっと消えるようで、そのままを詠みました。
智宥 「ふつと」の「つ」が大きいですね。
水牛 現代句ですから「つ」は小さくてもいいのですが。
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 「功徳」という語がふっと浮かんだ。善行の結果、与えられる神仏のお恵み、ご利益のことである。(恂)

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