戦国の石垣しかと天高し        徳永 正裕

戦国の石垣しかと天高し        徳永 正裕

『合評会から』(日経俳句会)

正市 いい句ですね。石垣が̪しっかり、はっきり残っているよ、と石垣のことしか言ってない。覇権をめぐった歴史を踏まえているのでしょう。石垣と季語との取り合わせが清々しい。
反平 わが故郷の熊本城は人気全国一でして、故郷愛もあって採りました。加藤清正の築いた石垣の反りを思い浮かべています。「しかと」という言葉を見つけたのもいいですね。
水牛 お二方のおっしゃる通り。私は小田原城にときどき行くのですが、石垣が実に格好いい。反った線に沿って視線を上げていくと青々とした空がある。
双歩 「石垣」と「天高し」は句に出てくるが、「戦国」を出したのがうまい。
万歩(メール選句) 「戦国の石垣」と「天高し」の取り合わせがいいですね。歴史上のドラマを色々と想像させるところも巧みです。
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 念のため「しかと」は「確と」です。広辞苑では最初に「相手を無視すること」と出てきたので、びっくり。(恂)

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