蝉の殻爪の先まで光満つ   大熊 万歩

蝉の殻爪の先まで光満つ   大熊 万歩

『合評会から』(日経俳句会)

昌魚 蝉の殻の句はよくあるが、これはよくもまあ観察したものだなと。
定利 爪の先まで見たのがすごい。
水馬 懐かしい気がする。蝉の殻を下から見るとこうで、リアリティがある。
冷峰 抜け殻が金色に光っているのを金色と言わずに「光満つ」としたのに感じ入りました。
二堂 七年くらい地中にいて、地上では何日かしか生きない。「光満つ」で命の輝きみたいなものを見ている。
臣弘 蝉は死んでも爪を残す。自分が生きた証明を光る爪で訴えているのだ。
光迷 目を凝らしての「爪の先」と「生きる力」の発見に乾杯。
          *     *     *
 句会では「蝉の抜け殻は寂しいもの。『光満つ』という明るい言葉は合わない」(正裕)という意見が出た。空蝉という魂の抜けた虚脱状態を言う言葉もあるから、そう感じるのも確か。しかし、蝉の抜け殻は見つめていると、まるで生き物のように見えることがある。(水)

この記事へのコメント