端居しておばちゃん会議始まりぬ   山口 斗詩子

端居しておばちゃん会議始まりぬ   山口 斗詩子

『この一句』

 おばちゃんはいつでもどこでも会議を始める。昔は長屋の共同の井戸端と決まっていた。マンションという現代長屋には共同井戸がないから、どこでやるのか。大きな団地だと藤棚の下にベンチや小さな噴水池などしつらえた小公園、集会所などがある。あるいは仲の良い三、四人のおばちゃんたちが、順番で自宅ダイニングキッチンに招き合ってということもあるようだ。現代の「端居」は昔とはだいぶ様子が異なる。
 俳句で「端居」と言えば、ご隠居が縁側の端にちょこなんと座って涼んでいるといった光景がまず浮かぶ。しかし、今やそういうのはほとんど見当たらない。団地のベランダは日が陰ってからも手摺など触ると熱くて、とても涼むどころではない。一戸建てにも縁側というものが無い。そこで老人はデパートやショッピングセンターに出かけ、階段脇などのベンチに座り込み、ペットボトルのお茶を飲みながら本や新聞を読んで日がな一日過ごす。歩行不自由となれば自室に籠もるか、介護施設行きとなる。従って今や「端居」は、おばちゃん達専売の消夏法となったようである。(水)

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