西日射す窓際族の影の濃し   流合 研士郎

西日射す窓際族の影の濃し   流合 研士郎

『この一句』

 政府・日銀は「景気は確実に上向いている」と言い、大企業の一部は好業績を上げている。デパートでは高額商品が売れているそうだ。新卒採用にもはずみがついている。しかし、大多数の一般庶民は食料品や身の回り品が値上がりしたのに昇給が追いつかず、高齢世帯は年金が減額され、むしろ暮らしが窮屈になったと思っている。
 企業業績好調と言っても内実は、円安による輸出金額の増大、海外資産の円換算による見かけ上の価値向上、保有株の値上がり、そして、派遣社員を増やし古手社員との雇用契約変更による実質的賃下げといった、外的要因やいじましい“工夫”によるところが多い。従って好業績と言っても高揚感が無い。
 どういうわけか一時ほど話題にされなくなった「窓際族」。その有り様は一層深刻になっていると聞く。この時事句、あまりにも現実を直視し過ぎたか、句会ではさっぱり点が入らなかった。しかし、「西日」のやりきれなさをこれほど感じさせる句もめずらしい。しかもこの窓際族、影が「濃い」というのだ。“カイジンマドギワゾクの逆襲”などという感じもして、面白い。(水)

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