大西日商店街の人まばら   加藤 明男

大西日商店街の人まばら   加藤 明男

『この一句』

 午後三時過ぎ、都心の焼けただれた歩道をくらくらしながら歩いていたら、大音響スピーカーの声が追い掛けて来た。「こちらは、千代田区、広報車です、ただいま、高温注意報、発令中です、不用の外出は、避けてください」なんて言ってる。はっきり聞き取れるようにとの親ごころか、抑揚の無い粘っこい女性の声で一句ずつ区切って言うから、なおさら暑苦しい。NHKラジオも天気予報のおじさんおばさんが毎時間「熱中症に気をつけてください」と繰り返す。ついには飛行機まで暑さに参ったのか、住宅密集地に墜落した。
 猛暑に地元商店街は閑古鳥である。昔ながらの商店街はシャッターを下ろした店も多い。デパートや有名店が軒を並べるターミナル周辺と、郊外の大型商業施設に客を奪われてしまったのだ。魚屋も八百屋も豆腐屋も後を継ぐべき息子娘が振り返りもしないから、ジイサンバアサンで細々と続けている。仕入れが少ないから店頭は見るからに淋しい。何となく活きが悪いように見えてしまう。だから売れない。そこでさらに商品数を絞る。ますますみすぼらしくなり・・、人っ子一人通らぬ町を大西日が焙り出す。(水)

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