つつじ散り根津はいつもの人通り    澤井 二堂

つつじ散り根津はいつもの人通り    澤井 二堂

『季のことば』

 つつじの季節になると私は東京・文京区の根津神社を思う。表参道かから入り、楼門を通って社殿に向かう左側は、まさにつつじの丘である。神社によると広さ二千坪の中に百種、三千株のつつじが咲くという。この時期には三回ほどしか行っていないのだが、その見事さは、なかなか忘れられない。
 東京・山手線で通勤していた頃、この時期になると巣鴨駅、駒込駅と二駅連続してホーム脇の見事なつつじを見ることが出来た。咲き出す頃は、根津神社はどうだろう、と思い、花が終わる頃には、今年もまた行かなかった、と思う。そして今年、根津神社どころか、巣鴨、駒込駅のつつじも見ずに終わった。
 当欄の前句でも紹介した東京の谷中、根津、千駄木は三十年も前から「散歩地区」として広く知られるようになった。ただ根津神社のあたりは人気の地区から少し外れているので、人が押しかけるのはつつじの季節だけらしい。前句の作者に擬せられたこの句の作者によると、神社付近には静かさが戻ったという。(恂)

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