青竹の杖が先導荒神輿       広上 正市

青竹の杖が先導荒神輿       広上 正市

『季のことば』

 「祭」は夏の季語である。京都の葵祭、祇園祭、東京の神田祭など、大きな神社の祭礼が夏に行われるからで、農事に関係する地方の秋祭が続いていく。祭に付随する神輿(みこし)、山車(だし)、祭太鼓なども夏の季語であり、これらの季語をそのまま秋に使えないのは不公平な気もする。
 ともかくこの句の祭は、夏に行われるのだから格が高い。作者によると毎年五月五日に神奈川・大磯町で開催される「国府祭」で、「こうのまち」と呼ばれるという。相模一宮の地位を巡って寒川神社、二宮川勾(かわわ)神社など六つの神社の神輿が集まる、と聞くだけで賑やかさ、勇壮さが想像されよう。
 「青竹の杖が先導」で祭の持つイメージが定まる。羽織袴姿のご老人が、山から伐ってきたばかりの竹杖を突き、威儀を正して神輿の前を歩いて行くのだという。神輿は四つ角など指定の場所に来ると、ここぞとばかり荒れまくるのだろう。先導の持つ一本の青竹が、くっきりと浮かび上がってくる。(恂)

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